研究成果の概要 |
16世紀の英国は, 強大なカトリック勢力と対峙するなか,地中海における交易路の開拓に腐心していた。エリザベスに残された唯一の道は,北アフリカや東地中海のイスラム教国と通商条約を結ぶことであった。しかし,オスマン帝国をはじめとする異教国との同盟に対して, 英国人たちは不安を抱かずにはおれなかった。彼らは,異教の文化によって,自国の文化が浸食されてしまうのではないかと恐れたのである。異教の「他者」と接触した英国人の精神的葛藤は,劇の中にどのような形で描かれたのか。東洋での異文化体験を綴った旅行記を手掛かりに,「他者」との遭遇を描いた劇の分析を試み,『シェイクスピアと異教国への旅』としてまとめた。
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