本研究の目的は、コンピュータを介した相互作用的議論で、議論の構造に影響する要因を特定し、議論の交換が個人の認識に与える影響を実証的に検証することである。大きく分けて二つの成果があった。第一に、複数の認知的要因が相互に関係を持ち、結果的に議論の構造(直接・複雑―間接・簡潔)に影響を与えることが判明した。これにより議論の構造を作る仕組みを以前よりも詳細に解明できた。第二に、交換された議論が個人の認識にもたらす影響を検証できた。具体的には、自と他の意見の相違に加え議論への参加が、個人の意見を変化させ、個人の意見に対する自信にも影響を及ぼすことが明らかになった。
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