研究課題/領域番号 |
23530873
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
教育心理学
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研究機関 | 浜松学院大学 |
研究代表者 |
鈴木 郁子 浜松学院大学, 現代コミュニケーション学部, 准教授 (40563903)
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研究期間 (年度) |
2011 – 2013
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研究課題ステータス |
中途終了 (2011年度)
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配分額 *注記 |
2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2013年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2012年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2011年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 学校教育相談 / 言語応答様式 / 現職研修 / ラボラトリー方式の体験学習 / 認知行動療法 |
研究概要 |
本研究は、教師の資質向上、とりわけ、対人援助職として必要不可欠な「共感性」を向上させることを目的としている。「共感性」の中でも、特に、認知的な意味合いの強い「個別性の認識に基づいた共感」が学校における教師-生徒関係において果たす役割が強く、生得的な共感である情動的な共感よりも経験や研修によって向上させることが可能であることを、一連の研究で示してきた。本研究では、それらの一連の研究を補完する検討を行っている。 研究内容は、以下の2つに大別される。研究A:学校教育相談担当教師と一般教師,他の職業に従事する者との言語応答様式の比較と,研究B:教師の「個別性の認識に基づいた共感」を向上させる研修の発展とその効果測定である。 研究Aに関しては、学校教師に日常会話の陳述に関する言語応答を紙上で行ってもらったデータをすでに有しており、それらと女性営業職との比較・検討を行い、過去に発表している。男性については、男性社会人の言語応答データを収集する機会がこれまでに持てなかったため、本研究で新たに男性社会人のデータを収集し、分析中である。男女の教師・会社員の比較ができれば、より鮮明に、教師の言語応答様式の特徴が描き出せる。教師、とりわけ、教育相談担当教師の話を聴く資質の高さが、他の職業に就く成人との比較でも、男女共に実証されれば、世間の批判の的になりやすい現職教師の励みとなる結果を示唆することが可能となる。 研究Bに関しては、現職研修にラボラトリー方式の体験学習を取り入れ、教師の他者理解力・自己理解力の向上を図り、教職受講生との比較も過去に行っている。しかし、ラボラトリー方式の体験学習の実施方法には改善の余地があり、近年、心理療法として、盛んに導入されている認知行動療法の中の自分の考え、感情、行動を分けて記述するワークを援用し、他者理解、自己理解をさらに促進する教授法を探索的に検討している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
主要な研究の第1番目である研究A:学校教育相談担当教師と一般教師,他の職業に従事する者との言語応答様式の比較については、男性社会人のデータを平成23年度に収集できたが、自由記述型応答を入力・コード化するのに、複数の人員が必要であったために、長期休暇を待って、手伝いをお願いする必要があった。 研究B:教師の「個別性の認識に基づいた共感」を向上させる研修の発展とその効果測定については、まず、教師との比較対象群となる大学生の受講生数が当初の予想よりも少なく、データ解析に十分なサインプルサイズとするのに、足かけ3年以上の年月が必要となってしまっているため、大学生だけでも、信頼のできる研究成果発表を行うには時間を要している(ただし、小標本による研究成果発表は、研究上の限界はありながらも、すでに行っている)。教師データについては、単なるデータ収集のための現職研修を実施させてもらえる機会はなく、平成24年度の教員免許更新講習が最大のデータ収集機会となる。平成24年度の講習で、研究協力の呼びかけを行い、現職教員の研究データ収集に努めたい。
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今後の研究の推進方策 |
基本的に交付金申請時に提出した研究内容を今後も推進していく予定である。 研究A:学校教育相談担当教師と一般教師,他の職業に従事する者との言語応答様式の比較に関しては、まず、新しく収集できた男性会社員の中で、教師と同等の学歴、教師と同様に対人的接触の多い会社員、すなわち、大卒の営業職に就く男性と男性教師の言語応答様式の全体的な比較・検討を行う。次に、共通回答項目は3項目に限られるが、男女差を加味した検討を行い、目に見えやすい結果提示を行う。最後に、教師は、教育相談担当経験のある教師と担当経験のない一般教師に2分されるため、教育相談担当教師と一般教師に分けたうえで、他の社会人との比較を行う。 研究B:教師の「個別性の認識に基づいた共感」を向上させる研修の発展とその効果測定に関しては、後期に実施される大学でのグループワークの授業の中で、前年度と同様の授業方法を導入し、学生の振り返り用紙を収集する。教師データについては、平成24年度の夏に開講される教員免許更新講習の計画を綿密に練り、認知行動療法を援用したラボラトリー方式の体験学習を実施し、教師によって提出された用紙から、研究に必要なデータを収集する。学生に同様の内容の授業が連続4回行われるが、教員に対しては1回限りの実施となるため、学生と教師の効果の差異に関しては、1回の授業の結果から検討することになる。前述のように、学生データに関しては、4連続となるため、課題内容や回数による効果も、探索的に検討して、豊富なデータを有効活用する方策をとる予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究Aに関しては、(1)自由記述型応答データの入力と複数者によるコード化のための人件費、(2)質的データ解析のための統計ソフトの購入、(3)関連文献収集のためのデバイスとその通信費用、(4)研究成果発表のための旅費等に、研究費を充てる予定である。 研究Bに関しては、(1)研修実施の際に配布する資料印刷のためのカラーレーザプリンタの購入、(2)研修実施の際に使用する文具とオーディオ機器、(3)研修実施と結果分析の手伝いのための人件費、(4)研究Bの基盤となる2つの実践法、すなわち、認知行動療法とラボラトリー方式の体験学習の専門家との研究の打ち合わせ費用等に研究費を充てる予定である。
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