研究課題/領域番号 |
23560658
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
建築構造・材料
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
後藤 康明 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (90170472)
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研究期間 (年度) |
2011 – 2013
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研究課題ステータス |
中途終了 (2011年度)
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配分額 *注記 |
5,200千円 (直接経費: 4,000千円、間接経費: 1,200千円)
2013年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2012年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2011年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | 鉄筋コンクリート / 折曲げ定着 / 多段配筋 / 定着破壊 / せん断破壊 |
研究概要 |
鉄筋コンクリート造骨組の外柱梁接合部で多用されている折曲げ定着による多段配筋部材を対象として,水平投影長さ等の配筋詳細に関わる項目をパラメータとした柱形に梁筋を埋め込んだ引抜試験体を10体および梁主筋段数をパラメータとしたト形柱梁接合部架構の部材試験体を2体製作し,加力実験を行った。掻出し定着破壊を想定した引抜実験では,一方向の片振り加力を行い,部材実験では,掻出し定着破壊耐力と接合部せん断耐力を同程度に設計し,正負繰返し漸増載荷を行った。引抜実験の結果,全ての試験体で設計どおり掻出し破壊が最大耐力の決定要因となり,既往の研究で提案されている掻出し破壊定着耐力推定式は多段配筋の場合でも適応することを示した。ただし,想定する掻出し破壊面のとり方によっては危険側の評価になる場合もあることがわかり,これについては今後も検討が必要である。また,掻出し破壊時の鉄筋折曲げ部内側のコンクリート支圧応力度実験値は,日本建築学会靱性保証型指針の定着強度式算定値の1/4程度までしか達していないが,最大耐力時以降に折曲げ部付近の段筋間のコンクリートが割裂破壊し,外側位置の鉄筋で鉄筋力が大きくなることを確認した。これに対して,部材実験では試験体の設計では接合部せん断破壊耐力と掻出し定着破壊耐力をほぼ同程度に設定したが,結果として接合部せん断破壊の様相を示した。しかし,大変形時に掻出し定着破壊の様相に変化する試験体が見られたこと,また,実験後にコンクリートをはつった際に引抜試験体と同様に,折曲げ部付近のコンクリートが割裂破壊しているものが見られたため,その影響についてさらに検討が必要である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度に予定していた実験はほぼ実行することが出来たことと,次年度の実験で予定していた部分も若干手をつけることが出来た。逆に,実験結果から検討すべき事項が新たに出たため,これを次年度,最終年度の研究計画に反映するため,検討を行っている次第である。また,実験施設の使用スケジュールの関係から,最終年度に行う予定であった実験を次年度に繰り上げることも検討している。全体の進捗状況としては,総合的に判断しておおむね順調である。
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今後の研究の推進方策 |
多段配筋の定着破壊について,基本的な性状は把握できたと考える。建築構造物で多段配筋となるのは基礎梁が多く,この基礎梁は一般にパイルキャップと柱の両者に接合されている場合も多い。この場合,梁の危険断面位置が加力の向きで異なることが予測されるため,その影響も評価する必要がある。また,この部位での定着長さについても上部構造と同様の設計が適切であるかについても検討が必要である。したがって,3年次に予定していたパイルキャップを含む部材実験を先行して行うことを念頭に2年次の実験計画を検討する予定である。また,今年度実験で明らかになった,多段筋の折曲げ部コンクリートの割裂破壊についてその影響を考察し,挙動に重要な問題であると判断した際には,当該破壊の評価方法についても検討を行う予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
当研究で使用を考えていた実験機器の使用予定が最終年度に使えなくなる恐れが出てきたため,次年度は当初予定していた実験に加え,最終年度に予定していた部材実験を行うことを予定する必要が出てきた。そこで消耗品等の経費が予定以上にかかると予測するが,次年度に予定していた実験のうち他の実験機器で実行が可能であるものを最終年度に移すことで問題なく実行が出来るように調整を行う予定である。また,今年度は消耗品の支出が予算よりも多くなって,旅費および謝金の経費を大幅に削減したが,次年度は9月に国際学会で成果発表を予定しているため,旅費の確保等当初の計画通り支出管理をきちんと行う予定である。今年度4万円弱の未使用金が出たのは,上述の通り消耗品の支出増が見込まれたため,他の支出を抑えたことが原因となったが,次年度の実験が予定よりも多くなることが予測されるため,この未使用金は増大分の経費に使用することを考えている。
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