研究課題
基盤研究(C)
遺伝子欠損マウスを作製し、『Tnikによる大腸発がん制御機構の解明』と『Tnikの全身臓器における生理的役割を検討することによる副作用発現予測』を行うことを目的として研究を実施している。これまでに、TnikのNullノックアウトマウスのホモ、ヘテロ接合体個体を作出することに成功している。これらNullノックアウトマウス個体については、胎生致死ではなく正常に誕生し、成育した。そこで、Nullノックアウトマウスの全身臓器の病理的、生理的解析を実施し野生型マウスと比較したところ、顕著な差異を認めなかった。現在、大腸がん発症との関連性を明らかにするために、大腸発がん誘導剤であるアゾキシメタンに対する感受性変化を検討しているところである。具体的には、各群10匹以上の個体を用い、大腸発がん誘導剤であるアゾキシメタンの投与を実施している。
2: おおむね順調に進展している
交付申請書に記載のTnik遺伝子完全欠失 (Nullノックアウト) マウスの作製については、平成24年度中にヘテロ、ホモ接合体を得ることを達成した。さらに幸運にも十分に解析可能な個体数を得ることができたので、平成25年度に予定していた大腸発がん誘導剤であるアゾキシメタンに対する感受性変化を前倒しで開始することができた。また、Conditionalノックアウトマウスの作製については、Tnikloxマウスは計画通りヘテロ、ホモマウスともに作出に成功し、各Creマウスとの交配を実施している。必要なgenotypeのマウスの個体数が揃わない群が生じているため解析については若干遅れている。以上のように現在までの、研究計画の達成度は総合するとおおむね予定通りである。
TnikのNullノックアウトマウスについては、ホモ産仔を得て、しかも正常に生育することを確認した。そこで、Tnikを欠失することによる大腸発がん過程への影響を解析するために、解析するために十分な数の個体を準備し、大腸発がん誘導剤であるアゾキシメタンに対する感受性変化を検討している。現在は、各個体にアゾキシメタンを投与している段階である。今後、各個体の腸管における腫瘍の形成状態を詳細に解析していく予定である。組織特異的Tnik遺伝子欠損マウスの作製および解析は現在進行中であるが、Nullマウスでの結果を鑑み、特に、以下のマウスについての解析を重点的に進めている。Tniklox-VillinCreマウスでは腸管上皮特異的に、Tniklox-Lgr5 Creマウスでは、腸管幹細胞、胃幹細胞、皮膚組織特異的にTnik遺伝子を欠損させることができるので、特に、これらのマウスとCatnblox(Δex3) マウスと交配させることにより、Tnik単独で寄与する大腸発がん状態と比較解析を実施している。Catnblox(Δex3) マウスは安定型β-Cateninを発現するため、Tnik遺伝子による大腸発がん制御をβ-Catenin/Wnt経路を相対指標として評価できるため有用な情報が得られる。
遺伝子欠損マウスの作製・維持・繁殖・解析に必要な試薬消耗品類(データ解析および論文投稿のために必要なソフトウエアなどのコンピュータ関連品を含む。)および研究成果発表、情報収集、共同研究打ち合わせ等に必要な出張旅費を予定している。
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すべて 雑誌論文 (14件) (うち査読あり 14件) 学会発表 (3件) 図書 (1件) 産業財産権 (2件) (うち外国 2件)
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