配分額 *注記 |
4,940千円 (直接経費: 3,800千円、間接経費: 1,140千円)
2014年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2013年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2012年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2011年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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研究概要 |
500床以上の麻酔科認定339施設の麻酔科を対象とした無記名のアンケート調査を平成23年11月~12月にかけて実施した。188施設(55.5%)から回答が得られた。手術室で5,000ml以上出血した症例に関する回答は186施設から得られた。対象とした2010年の一年間の麻酔科管理症例数の総数は643,999症例であったが、このうち1,900症例で5,000m1以上の出血が発生していた。5,000ml以上出血した症例の死亡率は10.9%、異型適合赤血球輸血が実施された症例の割合は5.1%であった。死亡症例のうち異型適合赤血球輸血が実施された症例の割合は6.8%であった。2008年の一年間を対象として実施した調査では、5,000ml以上出血した症例の死亡率17.8%、異型適合赤血球輸血が実施された症例の割合1.7%であった。死亡症例のうち異型適合赤血球輸血が実施された症例の割合は1.6%であった。この間の5,000ml以上の出血の発生頻度は各々28.1、29.511万症例と変化は認められていなかった。 従って、危機的出血に対する緊急輸血の実施率は改善傾向にあり、そのことが出血症例の予後を改善させた一因となっている可能性が示唆された。しかし、死亡症例に対する異型適合赤血球輸血の実施率は6.8%に止まり、緊急輸血対応には未だ改善の余地があるものと考えられた。さらに、5,000ml以上の出血は170施設から報告されたが、異型適合赤血球輸血を要する大量出血がない、あるいは大量出血でも同型血で対応可能と回答した施設が各々28-7%、46,8%を占め、異型適合血輸血以外の緊急輸血対応に問題がある可能性も示唆された。例えば、「産科危機的出血への対応ガイドライン」で提案された緊急度コードに関する取り決めがないと回答した施設は66.0%に上った。 「危機的出血への対応ガイドライン」では救命を最優先して異型適合血輸血を実施することが強調されたが、その発表3年後の今回の調査において、その実施率の改善傾向が認められた。一方、大量出血症例の死亡率には未だ改善の余地がある可能性も示唆され、緊急輸血対応全般の標準化が今後の課題と考えられた。
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