研究概要 |
2011年に発生した東日本大震災における災害そのものによる被害と,二次的にもたらされた停電による事故等,災害により在宅難病療養者が被るアクシデントは後を絶たない状況にあり,これらは在宅難病療養者や家族だけの課題ではなく,危機管理を担当する保健所や彼らの居住地域である市町村の課題でもあることから,2012年度は災害時を想定した在宅難病療養者支援への検討を実施した.このため2011年度に引き続き,定期的に研究会を開催して関連文献の検討を継続するとともに,都道府県がホームページ上に掲載している災害マニュアルから在宅難病療養者への災害時支援の現状分析を通して,災害時における在宅難病療養者の課題を検討した. この結果,(1)都道府県における防災計画が不十分であることと,(2)国・都道府県・市町村は,災害時要援護者として難病療養者を明記すべきであること,(3)早急に都道府県は,難病療養者への情報提供として避難先の停電対策や医療機器の提供方法の明示,保健医療計画の災害対策における電力確保や医療機器・医薬品等の供給体制の整備,在宅難病療養者が災害対策を理解できるための情報提供の工夫について取り組みを進める必要があること,(4)彼らが活用しているITでの情報提供は有効であることから,療養者側からみた情報提供がなされることが望まいこと,の4点を明らかにした. 以上の結果はまとめ,日本難病看護学会に投稿した(難病看護学会誌第17巻に掲載) なお,今後の研究課題として,都道府県ホームページ上の災害時支援計画の整備状況の継続調査,都道府県の災害時支援計画及び市町材の地域防災計画の整備状況と保健所・市町村の取り組み状況の検討,広域災害の被災地での検証,を挙げる.
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