研究課題/領域番号 |
23650449
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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配分区分 | 基金 |
研究分野 |
生活科学一般
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研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
森田 亜矢子 関西大学, 人間健康学部, 助教 (70551315)
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研究期間 (年度) |
2011 – 2012
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研究課題ステータス |
中途終了 (2011年度)
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配分額 *注記 |
1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2012年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2011年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 笑い / ポジティブフィードバック / 心理社会的支援 / 横隔膜式笑い測定システム |
研究概要 |
二か年計画で実施する本研究の目的は、人間が「笑う」という行動について、数量的なアプローチを行いつつ、「笑い」を用いた心理的援助の可能性を探ることである。経験的には極めて自明でありながら、科学的な研究の対象としては掴みどころのない、「笑う」という現象について、(1)笑いの「量」を数値で表すための手法を提起し、(2)その手法を用いて、応用健康科学的観点からの支援的手法を開発することを目指す。具体的には、これまで探索的に検討を続けてきた横隔膜式笑い測定システムを発展的に適用し、ポジティブな状態としての「笑い」を数値でフィードバックすることをとおして、社会的および心理的な支援を行う手法について、統計的な裏付けを行いながら検証する。 「笑い」の健康増進効果を示唆する研究結果は、医学や心理学を中心に多数報告され、注目を浴びている。しかし、笑いと健康との直接的な関わりを科学的に解明するためには、「笑い」を測定するプロセスにおける標準化の手続きを欠くことができない。標準化を行うためには大量のデータ収集と解析が必要であり、終了までには数年を要する。 そこで、本研究では、標準化の手続きを行う過程で被験者が体験する「笑い行動のフィードバック」に焦点をあてる。被験者の体験談のなかに、自分がどれくらいハラの底から笑ったかを数量として見ることによって、自分の笑いに自信と安心感を得られた、と語られていたことに着目し、「笑う」という行動そのもの以外に、自分が「きちんと」笑えていることを確認するという行為が、精神的な安定を促し、心身の健康増進に役立つのではないかという仮定にもとづき、当該年は、フィードバックの手続きを支援的手法に発展させるための予備調査と予備実験を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の最終目的は、笑いを数量的にポジティブフィードバックすることの効果について詳細に検討しつつ、社会的支援と心理的支援を行うためのプログラムを開発することである。 その具体的な手順は、まず、笑いのフィードバックが被験者に及ぼす影響について検討を行い、次に、検討結果をふまえながら、具体的な応用の可能性について先行研究を参考にしつつ支援プログラムを考案し、最終的には、支援プログラムの実施をしながら、その効果についての検証を行うという流れとなる。 本研究は2か年計画であるため、1年目にあたる平成23年度内に、(1) 笑いのポジティブフィードバックが被験者に与える影響と、(2)その個人差要因について検討を行いつつ、 (3) 笑いのポジティブフィードバックをとおして、被験者の心身にどのような健康増進の効果を期待することができるか、について検討することが目標であった。資料研究と予備実験を重ね、おおむね目標を達成することができた。
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今後の研究の推進方策 |
次年度の目標は、笑いのポジティブフィードバックが被験者にもたらす影響を明らかにしながら、ポジティブフィードバックの手続きを洗練させ、社会的および心理的支援手法を開発することである。 本研究の課題は、全体として、5つに大別することができる。その5つとは、課題(1)笑いのポジティブフィードバックが被験者にもたらす影響を調べる、課題(2)笑いのポジティブフィードバックに対する反応の個人差と要因を調べる、課題(3)フィードバックの方法による効果の違いを調べる、課題(4)笑いのポジティブフィードバックがもたらす健康増進効果について調べる、課題(5)心理社会的な支援を行うための手法を開発する、ことである。これらのうち、課題(1)と(2)については、当該年度に実施済である。よって、次年度には、課題(3)から(5)までを実施する。 特に、フィードバックの条件によって、どのように効果が変わるのか、という点について慎重に検討を行い、最終的には、より健康的なライフスタイルを構築するために、日常生活において笑うことを積極的に習慣づけるための支援を行い、笑いがもたらす健康増進効果を、より多くの人が享受できるよう援助する手法を開発する。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度に使用する研究費として、設備備品費および消耗品費、国内旅費、謝金、その他を計画している。具体的項目について、以下に述べる。 筋電の測定には、筋電計を含む測定装置と表示用のディスプレイ、さらに解析用のパソコンおよびソフトウェアが必要である。このうち、被験者の肌に直接接触する電極や、消毒用アルコール綿等を、消耗品として計上する。そのほか、筋電波形を記録して解析するための高性能ノートパソコンを1台と、データ保存のための外付けHDDおよびDVD-Rを購入する。また、被験者の生理的情報を得るための道具として、唾液中コルチゾールを測定するためのキットと、被験者の笑わせるための刺激用DVDを消耗品として計上する。以上が、設備備品費および消耗品費として使用を計画している項目である。 なお、国内学会への参加と発表のための旅費に加えて、関西大学以外の場所でのデータ収集および研究に関する打ち合わせのための調査旅費を計上する。全国各所で開催されている笑いと健康に関する集会に参加し、データ収集への協力を依頼するための国内旅費の使用を計画している。 実験を行うにあたり、実験補助およびデータ入力等の補助を担当する協力者への謝礼と、被験者への謝礼を計上する。実験補助およびデータ入力等の補助を担当する協力者は、関西大学人間健康学部の所属ではないため、本研究への協力を目的として同学部を訪れる際の交通費を計上する。また、アンケート用紙の印刷代および郵送代と、本研究の成果を論文にまとめ、国内外の学術雑誌に投稿するための、英文校閲料、および、国内外の学術雑誌に投稿するための投稿料を計上している。
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