研究課題/領域番号 |
23650463
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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配分区分 | 基金 |
研究分野 |
食生活学
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研究機関 | 青森県立保健大学 |
研究代表者 |
松江 一 青森県立保健大学, 健康科学部, 教授 (30106843)
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研究分担者 |
藤原 憲秀 青森県立保健大学, 健康科学部, 教授 (20222268)
乗鞍 敏夫 青森県立保健大学, 健康科学部, 助教 (40468111)
森永 八江 青森県立保健大学, 健康科学部, 助手 (40404818)
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研究期間 (年度) |
2011
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研究課題ステータス |
完了 (2011年度)
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配分額 *注記 |
2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2011年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
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キーワード | anticancer / p-terphenyl derivatives / Thelephantin O / vialinin A / Thelephora aurantiotincta / Caspase inhibiter / chronic alcohol consumption / pair feeding |
研究概要 |
イボタケ属のきのこから、多数のp-テレファニル骨格を有する新規物質が単離・同定されているが、ヒト肝ガン細胞HepG2を目安にした抗腫瘍活性物質探索は無く、我々はVialinin A(VAと省略)を単離構造決定した。今年度我々はボタンイボタケからVAよりメチレン基が一個少ない新規物質Thelephantin-O(TOと省略)を単離し、LC-MS/MS分析、13C-NMRの化学シフトに及ぼす同位体効果分析により化学構造を同定した。TOとVAは、p-テレファニル骨格の中央ベンゼン環に2つの水酸基がシス位で置換する特徴的構造を有しており、HepG2やCaco2の悪性腫瘍細胞の増殖を抑えるが、対応する正常細胞には何ら影響を与えない選択性を示した。さらに抗腫瘍機構解明のため、HepG2細胞に幾つかの濃度の活性物質を添加、48時間本培養を行い、細胞ライセートのカスパーゼ3/7活性を測定したところ、活性物質10μg/mlでカスパーゼ3/7活性をほぼ100%阻害することが明らかとなった。この結果はこれらの化合物の選択的抗腫瘍活性は、アポトーシスが原因ではなく、他の径路に起因するものであることを示していた(現在論文投稿中)。 VAは強力な抗酸化性とヒト肝ガン細胞HepG2へのカスパーゼ阻害活性を併せ持つ生理作用を有することを明らかとしており、アルコールの慢性的な消費によって生じる金属の撹乱や酸化ストレスの増大が引き金となって引き起こされる肝障害を改善する生理効果がVAに期待されたため、慢性アルコール性肝障害モデルラットにVAを投与する動物実験を行った。VAをラットに投与する動物実験は本研究が世界で初めてであり、2010年ノーベル賞を受賞した鈴木.宮浦のクロスカップリング反応を応用した合成法を用いてVAを大量に化学合成し天然物と一致することを確認後、それを用いて慢性的な過剰飲酒モデル動物への経口投与を行った。5週齢Wister系雄ラットを使用し、液体飼料であるLieber-DeCarli dietsのPFC比のC:47. 5%のコントロール群と、C比の36%をアルコールに置換したアルコール投与群、さらにアルコール投与群と同じ食餌組成にVAを0. 0002%(w/v)または0. 001%(w/v)に調製した群の4群に分けた。アルコール投与群の食餌量を基準として、8週間pair-feedingを行った。VAの投与により肝臓や腎臓に毒性を示すような生化学的な異常、また体重や各臓器の増加、飼育期間中に異常がみられなかったが、VA投与群においては肝臓の酸化ストレスマーカーMDA値が減少する傾向がみられた。現在、VAの経口投与量を検討中である。
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