研究概要 |
本研究では,既報に従ってリグニンをリグノクレゾールに変換し,金属カルシウムと貴金属触媒を組み合わせた新規な還元法によりリニア型リグノクレゾールの芳香環部位を効率よく脂肪族誘導体(以下,リグノアルカン類)へ変換する技術を高度化すること,さらに,得られたリグノアルカン類のポリマー相溶化剤としての有用性を検討することを目的とした。先ず,触媒量,反応温度,溶媒種類及び使用量,還元剤量,還元剤の形状について検討した。最適条件として,1gのリグノクレゾールを1 mLのエタノールに分散後,0.1 gのRh/C触媒(Rh: 5 wt%)及び10 mmolの金属カルシウムを加えて室温~60℃で撹拌処理を行うと,定量的に対応するリグノアルカン類が得られことを見出した。さらに,リグノアルカン類の基礎物性(沸点150~170℃/ 10 mmHg,1%以下の芳香族性官能基含有率であり,脂肪族性官能基比率として,芳香族エーテル/ 脂肪族エーテル/ アルキル炭化水素=2 / 1 / 10)を明らかにした。また,リグノアルカン類を混合ポリマーに対して5 wt%添加混合するケースで,ポリエチレン(Mw = 35,000)とポリプロピレン(Mw = 14,000)が均一に混合できることを明らかにした。
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