研究課題の理論的基盤となる組織論における新制度派について、その起源および論点を整理した。具体的には、一つには、新制度派において、その初期の段階で指摘された二つの重要なテーマ、すなわち、組織構造や経営手法の同質性、その背後にあるデカップリング(フォーマルな形式と実質との切りはなし、面従腹背)のうち、かつては前者が注目されていたが、実証研究の蓄積とともに後者がより重要なテーマとなっているということ、二つには、新制度派の議論において、キー・コンセプトである制度がアンブレラ・タームとなってしまっているため、実証的な研究のために、制度をどのように定義するべきかを再検討する必要があると指摘した。
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