本研究の目的は、小学校図画工作科での工作に表わす授業づくりの一環として、少ない材料でも多様な発想を引き出すことができる工作教材を開発することにある。「少ない材料」への着目は有り余るほどの多種多様な材料からではなく、必要最小限の材料から無限の可能性を見出そうとするものであり、「限りある資源をどう活用するか」という世界的な課題へもつながるものである。「多様な発想」への着眼は「つくろうとするものが思い浮かばない」という理由で自信をなくしている子どもたちや工作指導に不安をもつ教師への解決方法の一つを提案するものである。開発した工作教材は10教材。それらの一部は全国的な月刊誌に掲載された。授業過程の構造図を作成することによって、一目で全体の状況が分かるように配慮した。工作教材からの発展例として「絵に表わす」「粘土で表す」という教材も提起した。教材開発のための基本となる考え方は、著書 (共著) にも記した小学校教員を対象とした講習会を開催し、研究成果の普及も図った (開催地:埼玉県本庄市、北海道江別市、北海道札幌市、宮城県大崎市など)。
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