本研究の目的は、対比的説明モデル研究とアブダクションに基づいて、社会科授業における発問の機能を分析する方法を開発することにある。発問の基本的な機能は学習者に疑問を成立させること、及び、その疑問に対する暫定的解釈を成立させることにある。ここでの分析方法とは、発問がどのような対比的関係を背景になされているかを分析する方法、及び、その発問がどのような暫定的解釈を生み出したかを判定する方法を意味する。本研究は、小中学校の授業者が社会科授業で学習者に比較的十分に考えさせることができたとして自己評価するような授業においては発問によって多様な暫定的解釈が生み出されているという仮説に基づいて進められた。
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