研究概要 |
近年,生体高分子のX線結晶構造解析の精度が飛躍的に向上し,それらの中には,生体高分子の活性中心における(外殻)電子の軌道自体を実験的に求める研究も見られる。本研究は,非経験的(ab initio)電子構造計算を用いて,回折実験データとの理論的な比較を行うことにより,生体高分子の活性中心の立体構造と電子構造の双方を最良の精度で同時に獲得するための解析技術の開発を試みた。立体構造と電子構造を同時に比較・評価するための情報統計学的な理論スキームを開発し,それを実装した計算システムの主要部分を構築することによって,本解析法の妥当性・実現性を評価した。その結果,上述の目的を実現するための基盤となる知見を得ると共に,解析システムのプロトタイプを構築し,本研究の目的を達成した。
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