研究課題
挑戦的萌芽研究
キノコ(子実体)は、菌類が次世代を残すために胞子を生産する繁殖器官である。キノコの化学成分、とくに毒性の生態学的意義を解明するためには、ジェネラリスト的傾向が強く、広範囲を動き回り、バイオマスも大きい哺乳類のキノコ食について、基礎的な知見を積み重ねていく必要がある。本研究では(1)屋久島のニホンザルを対象に、サルが採食するキノコの多様性を明らかにし、毒性に着目して、サルによるキノコ選択の基準を明らかにすること(2)キノコを採食したサルが有効にその菌の胞子散布を行うことを実験的に証明することを目的とした。屋久島のニホンザルは、14 ヶ月の観察期間中、年間を通じて 67 種(31属)という多様なキノコを食べていた。ニホンザルが検査行動なしにすぐに食べるキノコは毒キノコである割合が低く、ニホンザルが途中で採食を止めたキノコは毒キノコである割合が高かった。これらのことから、ニホンザルはキノコにたいしてある程度事前の知識を持っており、味覚とあわせて毒キノコ回避に重要な役割を果たしている可能性が示唆された。一方、胞子散布については、サルに対してキノコの給餌実験を行うことが困難だったため、本研究期間内に実証することはできなかった。
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