研究課題
挑戦的萌芽研究
ヘビ毒は神経毒と出血毒に大別される。本研究は、後者の出血毒に関して、出血因子の起源は何か、そしてそれら祖先分子から出血因子の毒性はどのように獲得されたのか、という疑問を解決しようとするものである。出血毒は、「出血因子活性」を持つドメインと「血液凝固阻止活性」をもつドメインからなる前駆体可溶性因子から産生される、2種類の毒タンパク質から構成され、その前駆体の構造は、ADAM(a disintegrin and metalloprotease)と総称される膜型タンパク質に類似する。このことから、それは、ヘビ毒出血因子が、脊椎動物の祖先の中で血管形成や血球の挙動を制御する活性をもつADAM分子を模倣しているのではないか、と仮説を立てた。先に我々は、赤芽球と血管を可視化した生きたゼブラフィッシュ胚を用いて、ADAM8が血球-血管接着の解除により胚の血液循環開始に関与することを報告した(Iida et al., 2010)。この観察技術を用いて、ヘビ毒出血因子が魚類循環器系に対していかなる作用を及ぼすかを検討したところ、あるヘビ毒出血因子は、ゼブラフィッシュ胚の血管形成を阻害することを見いだした。そこで、血球で発現するADAM8が、さらに血管内皮細胞の挙動に何らかの影響を持つかどうかを検討した。その結果、ADAM8の翻訳阻害モルフォリーノ処理により、その発現を阻害したところ、節間動脈の伸長が阻害されることがわかった。そして、ライブイメージングおよび電子顕微鏡観察によって、これらの胚では血球が節間動脈内皮に接着している様子が観察されるとともに、内皮細胞の遺伝子発現に大きな変化が生じた。このことから、血球で発現するADAM8は、節間動脈の伸長にも必要であることが示され、ヘビ毒出血因子の機能と、進化的に何らかの関連があることが示唆された。
すべて 2011
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