研究概要 |
発酵熱生成の機構を明らかにするため、天然インジゴ生産の工程である藍葉の発酵について研究を行った。乾燥させた藍葉に適量の水を加えることによって発酵が開始し、30℃の外気温に対して最高42℃までの温度上昇が起った。発酵物メタゲノムの変性剤濃度勾配ゲル電気泳動(DGGE)法による解析や藍葉の洗浄液の培養等によって、Pantoea calida、Pantoea dispersa、Pantoeaagglomerans、Pseudomonas alcaligenes、Sanguibacter marinus、Bacillus amyloliquefaciense、Bacillus circilans、Bacillus subtilisなどの細菌と、Aspergillus oryzae, Mucorcircinnelloides, Cryptococcus vishniacii, Lichitheimia lamosa など3種の真菌の存在を見出すとともに、そのいくつかを単離した。単離した菌を滅菌した藍葉に稙菌したところ、A.oryzaeを稙菌した場合のみ、藍葉の発酵時とほぼ同程度までの温度上昇が見られた。一方、他の真菌および細菌を植菌しても温度上昇は得られなかった。藍葉の発酵時にPenicillinとStreptomycinを添加しても温度上昇が得られたのに対して、抗真菌剤であるNystatinを加えた場合には温度上昇は起らなかった。以上の結果、この系における発酵熱生成にはA. oryzaeの寄与が大きいものと推測された。
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