研究課題
挑戦的萌芽研究
申請者らは、窒素源飢餓によるオートファジー誘導系に、ラパマイシンで惹起される経路の他に、惹起されない経路があることを見いだしたさらに、後者の経路もラパマイシンで惹起される経路と同程度に飢餓応答に必要な経路であることを明らかにした。ラパマイシンが免疫抑制剤、抗ガン剤さらには寿命を延ばす薬剤としても注目を集めていることから、本研究では、後者のオートファジーを惹起する物質も同様に有用なものであると考え、この物質を、新しいオートファジー機構を利用してスクリーニングする系の開発を行うために、以下の2点について研究した。薬剤スクリーニング系の確立を目指した研究ラパマイシンで模倣できない新しいオートファジー経路で分解されるタンパク質として酵母の細胞質にあるYpk1に注目し、蛍光タンパク質との融合タンパク質を発現させ顕微鏡で観察できる系を確立した。主要な液胞(哺乳動物のリソソーム)のタンパク分解酵素を欠損させた細胞を使うことにより、薬剤添加時に、このオートファジー経路が活性化されれば、融合タンパク質が細胞質から液胞に運ばれるため、細胞質の蛍光強度が減少し、液胞の蛍光強度がすることが判定できる。また、適当なYpk1の断片を使うことにより、より一層観察しやすい系を確立した。また、簡便な系としては野生株を用いてSDS-PAGE後に、western blotを行い、分解の有無で判断するシステムを確立した。セリン/スレオニンキナーゼ欠損株のスクリーニングラパマイシンで惹起されない経路に於ける、Ypk1の上流のキナーゼがTORC1と同様、セリン/スレオニンキナーゼであると仮定して、セリン/スレオニンキナーゼ欠損株のスクリーニングを行った。その結果、ある種のセリン/スレオニンキナーゼがin vivoあるいはin vitroにおいてもYpk1をリン酸化することを見出した。
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