研究課題/領域番号 |
23659191
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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配分区分 | 基金 |
研究分野 |
人体病理学
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
伊藤 浩一 順天堂大学, 医学部, 助手 (30596119)
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研究分担者 |
三富 弘之 順天堂大学, 医学部, 准教授 (90181940)
八尾 隆史 順天堂大学, 医学部, 准教授 (20243933)
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研究期間 (年度) |
2011
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研究課題ステータス |
中途終了 (2011年度)
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配分額 *注記 |
3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2013年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2012年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2011年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 胃癌 / シグナル伝達 / 遺伝子変異 |
研究概要 |
【背景と目的】2010年に我々は、固有胃腺への分化を示す特殊な胃癌(胃底腺型胃癌)を新たに提唱した。この胃癌は、胃底腺主細胞マーカー、壁細胞マーカーが陽性を示す高分化腺癌で、通常の胃癌とは異なる臨床病理学的特徴を有する特殊型である。胃底腺ポリープでは、Wntシグナル伝達系の活性化に関与するβ-cateninの変異が高率にみられ、通常型の胃癌でもβ-cateninの遺伝子変異に加え、AxinやAPC遺伝子変異も認められ、胃底腺ポリープと通常型胃癌に共通してWnt系活性の亢進がみられる事から、胃底腺型胃癌に関するWntシグナル伝達系の関与に関する解析を研究目的とした。 【対象】胃底腺型胃癌(FCA)23例(全例粘膜下層浸潤)と同時期に切除された通常型の粘膜下層浸潤胃癌(CCA)111例である。 【方法】1)臨床病理学的検討として年齢、性別、部位、肉眼型、腫瘍径、粘膜下層浸潤の深さ、2)免疫組織化学的検討として胃底腺型胃癌についてβ-cateninの核内発現、3)遺伝子検索としてDNAを抽出し、β-catenin遺伝子エクソン3をdirect sequence法で解析した。 【成績】1)平均年齢はFCAでは66.0歳、CCAでは67.7歳で差はなく、いずれも男性に多かったが有意差はなかった。部位は、FCAでは上部(96%)に多かったが、CCAでは上部、中部、下部にほぼ均等に分布していた(P<0.001)。肉眼型は、FCAでは0-IIa型(44%)が多かったが、CCAでは0-IIc型(68%)が多かった(P<0.001)。腫瘍径はFCAは(平均12.6mm)、CCA(32.3mm)に比べ有意に小さく(P<0.001)、粘膜下層浸潤の深さはFCA(平均±SD:520±460μm)では、CCA(1730±1960μm)に比べ浅かった(P<0.001)。2)FCAでは7例中6例(86%)にβ-cateninの核内発現を認め、その標識率は平均19%(13-25%)であった。3)β-cateninエクソン3の遺伝子解析では、7例中2例(29%)に変異が確認され、コドン67にGAA(Glu)→GGA(Gly)、コドン68にCAG(Gln)→TAG(STOP)の1塩基置換を認めた。 【結語】胃底腺型胃癌においてWntシグナル伝達系の活性化が示唆された。
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