骨格筋におけるDNAメチル化標的遺伝子の同定と医学応用

• 研究課題/領域番号: 23659468
• 研究種目: 挑戦的萌芽研究
• 配分区分: 基金
• 研究分野: 代謝学
• 研究機関: 東京医科歯科大学
• 研究代表者: 小川 佳宏 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (70291424)
• 研究期間 (年度): 2011
• 研究課題ステータス: 完了 (2011年度)
• 配分額: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円); 2011年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
• キーワード: 骨格筋 / DNA / メチル化 / エピジェネティクス / 生活習慣病 / 遺伝子発現 / DNAメチル化

研究概要

DNAメチル化は代表的なエピジェネティクス制御の様式であり、個体の初期発生や癌抑制遺伝子の発現制御などにおいて精力的に研究されている。しかしながら、正常の成体組織あるいは肥満や糖尿病などの成人期に発症する慢性疾患における生理的・病態生理的意義は不明である。本研究は、従来、全く知見のなかったDNAメチル化に着目した骨格筋代謝のエピジェネティクス制御による医学応用を目指すものである。本研究では、de novo(新規)メチル化酵素Dnmt3aのflox/floxマウスと、αアクチンプロモーターによりCPEリコンビナーゼを骨格筋特異的に発現させたトランスジェニックマウスを交配し、Dnmt3aの骨格筋特異的欠損マウスを作出した。qPCR法により組織別のDnmt3aの遺伝子発現を検討したところ、Dnmt3aの骨格筋特異的な発現抑制が観察された。MIAMI法(Microarray-based Integrated Analysis of Methylation by Isoschizomers)(Oncogene25 : 3059-3064, 2006)により、Dnmt3a欠損マウス骨格筋のDNAメチル化プロフィールを網羅的に検討したところ、野生型マウスの骨格筋と比較して、数十の遺伝子において顕著なDNAメチル化レベルの減少が認められた。複数の遺伝子については、バイサルファイト法によりDNAメチル化変化を確認した。メチル化減少した遺伝子のバイオインフォマティクス解析により、転写抑制因子類をコードしているものが多く認められ、DNAメチル化標的遺伝子である可能性が示唆された。一方、DNAメチル化変化と遺伝子発現変化に明らかな相関は認められなかった。DNAメチル化標的遺伝子の発現と骨格筋の代謝表現型の変化の検討により、DNAメチル化を標的とする医学応用への発展が期待される。

研究成果

• [雑誌論文] Increased expression of macrophage-inducible C-type lectin in adipose tissue of obese mice and humans (2011)
  • 著者名/発表者名: M. Ichioka, T. Suganami, N. Tsuda, I. Shirakawa, Y. Hirata, N. Satoh-Asahara, Y. Shimoda, M. Tanaka, M. Kim-Saijo, Y. Miyamoto, Y. Kamei, M. Sata, Y. Ogawa
  • 雑誌名: Diabetes 巻: 60 ページ: 819-826
• [雑誌論文] Role of central leptin signaling in the starvation-induced alteration of B cell development (2011)
  • 著者名/発表者名: M. Tanaka, T. Suganami, M. Kim-Saijo, C. Toda, M. Tsuiji, K. Ochi, Y. Kamei, Y. Minokoshi, Y. Ogawa
  • 雑誌名: J. Neurosci 巻: 31 ページ: 8373-8380
• [雑誌論文] Metabolic analysis of transgenic mice overexpressing RXRγin skeletal muscle : increased glucose tolerance and suppression of obesity-induced fatty liver (2011)
  • 著者名/発表者名: S. Sugita, Y. Kamei, F. Akaike, T. Suganami, S. Kanai, M. Hattori, Y. Manabe, N. Fujii, T. Takai-Igarashi, J. Oka, H. Aburatani, T. Yamada, H. Katagiri, S. Kakehi, Y. Tamura, S. Takasuga, T. Sasaki, H. Kubo, K. Nishida, S. Miura, O. Ezaki, Y. Ogawa
  • 雑誌名: PLoS ONE 巻: 6
• [雑誌論文] Melanocortin-4 receptor-deficient mice as a novel mouse model of non-alcoholic steatohepatitis (2011)
  • 著者名/発表者名: M. Itoh, T. Suganami, N. Nakagawa, M. Tanaka, Y. Yamamoto, Y. Kamei, S. Terai, I. Sakaida, Y. Ogawa
  • 雑誌名: Am. J. Pathol 巻: 179 ページ: 2454-2463
• [雑誌論文] 栄養環境と代謝のエピジェネティクス (2011)
  • 著者名/発表者名: 江原達弥、亀井康富、高橋真由美、袁勲梅、小川佳宏
  • 雑誌名: 実験医学 巻: 29 ページ: 2217-2222
• [雑誌論文] エピジェネティクスと代謝性疾患 (2011)
  • 著者名/発表者名: 亀井康富、小川佳宏
  • 雑誌名: MedChem News(日本薬学会医薬科学部会) 巻: 21 ページ: 31-33
  • NAID: 130007921699
• [学会発表] メタボリックシンドロームと慢性炎症 (2011)
  • 著者名/発表者名: 小川佳宏
  • 学会等名: 熊本大学最先端・次世代研究開発プログラムキックオフシンポジウム特別講演
  • 発表場所: 熊本
  • 年月日: 2011-06-30
• [学会発表] エピジェネティスク機構による細胞制御と病態 (2011)
  • 著者名/発表者名: 小川佳宏
  • 学会等名: ネスレ栄養科学会議
  • 発表場所: 東京
  • 年月日: 2011-05-14
• [学会発表] 生活習慣病とDNAメチル化 (2011)
  • 著者名/発表者名: 小川佳宏
  • 学会等名: 第65回日本栄養・食糧学会サテライトシンポジウムネスレ栄養科学会議
  • 発表場所: 東京
  • 年月日: 2011-05-14
• [学会発表] Epigenetic Modifications Underlying Insulin Resistance (2011)
  • 著者名/発表者名: Yoshihiro Ogawa
  • 学会等名: THE ENDOCRINE SOCIETY's 93RD ANNUAL MEETING & EXPO(ENDO2011)
  • 発表場所: Boston
• [学会発表] Epigenetic Regulation of Metabolic Diseases (2011)
  • 著者名/発表者名: Yoshihiro Ogawa
  • 学会等名: THE ENDOCRINE SOCIETY's 93RD ANNUAL MEETING & EXPO(ENDO2011)
  • 発表場所: Boston
• [学会発表] Epigenetic Modifications Underlying Insulin Resistance (2011)
  • 著者名/発表者名: Yoshihiro Ogawa
  • 学会等名: ENDOCRINE SOCIETY'S 93^<RD> ANNUAL MEETING & EXPO(ENDO2011)
  • 発表場所: Boston
• [学会発表] 生活習慣病のエピゲノム制御 (2011)
  • 著者名/発表者名: 小川佳宏
  • 学会等名: 大阪大学蛋白質研究所セミナー疾患におけるエピゲノム異常の分子機構
  • 発表場所: 大阪
• [図書] 栄養とエピジェネティクス
  • 著者名/発表者名: 小川佳宏
  • 出版者: 建帛社
• [備考]
  • URL: http://www.tmd.ac.jp/mri/prm/index.html
• [備考]
  • URL: http://www.tmd.ac.jp/grad/cme/index.html
• [備考]
  • URL: http://www.tmd.ac.jp/mri/prm/index.html