研究課題
挑戦的萌芽研究
顆粒球系細胞の活性酸素産生を負に制御する分子としてBtk及びBtk会合分子に焦点を当てて検討を行った。ROS産生はNADPHオキシダーゼ複合体によって遂行されるが、Btkが欠如すると、アダプター分子であるMalはPI(3)キナーゼやsrcタイプチロシンキナーゼ(PTK)と形質膜で会合していた。これらのキナーゼはまた過リン酸化し活性化していた。一方健常人の好中球ではBtkはMalと細胞質で会合し、細胞質にとどめる働きをしていた。この研究ではさらに、PTKがBtk不在化で活性化される機序について主としてPTKを負に制御するホスファターゼやCsk,Cbp/PAGに焦点を絞って検討を行った。また細胞膜透過性ペプチドをもつ組換え型Mal(野生型、膜移行型、細胞内滞在型)を作成して、Malの膜移行が好中球のプライミングに決定的な役割を果たしているかを検討した。さらにBtkは好酸球においてもその過剰なROS産生を抑制していることを明らかにし、現在はさらにマスト細胞などにおいて検討を進めている。またBtkと同様にTecfamilykinaseであるItkについてもT細胞でのROS産生制御について検討を開始できた。本研究ではBtk及びMalが顆粒球系においてのROS過剰産生を制御する分子であることを明らかにした。また今までの検討からMalを細胞内にとどめておくことにより、プライミングを抑制できることが明らかになりつつある。この結果は、敗血症など過剰なプライミング刺激が入っている状態では、細胞内滞在型Malがその過剰反応抑制に作用する可能性があることを示唆している。
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