研究概要 |
悪性黒色腫に対して放射性同位体を利用した内用療法が研究されている。悪性黒色腫の腫瘍細胞には過剰発現するメラノコルチン-1 型受容体が発現しており、色素細胞刺激ホルモンの 1 つであるα-MSH と結合親和性を持つことから、α-MSH にペプチドを結合させた類似体 DOTA-Re(Arg11)CCMSH に放射性同位体をキレート結合させることで、悪性黒色腫の腫瘍細胞に特異的に放射線を照射することができる。本研究では、DOTA-Re(Arg11)CCMSH と標識する放射性同位体としてα線放出核種である225Ac や227Th の可能性を検討した。実験の結果111In 標識体は腫瘍細胞および腎臓に集積することが分かった。一方、225Ac は DOTA と標識は可能であったが、DOTA-Re(Arg11)CCMSH に対しては DOTA と同一条件下での標識は難しいことが分かった。これに対し、234Th の標識では反応溶液の pH を 4.5 にすることで最も効率よく標識できることが分かった。今後, 227Th を用いて234Th と同条件下の実験による標識の検討を行い,さらに Th 標識 DOTA-Re(Arg11)CCMSH 溶液を生理食塩水系にし,悪性黒色腫モデルマウスへ投与し,悪性黒色腫への集積の確認が必要である。
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