研究課題/領域番号 |
23659604
|
研究種目 |
挑戦的萌芽研究
|
配分区分 | 基金 |
研究分野 |
放射線科学
|
研究機関 | 産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
三澤 雅樹 産業技術総合研究所, ヒューマンライフテクノロジー研究部門, 主任研究員 (60358083)
|
研究分担者 |
高橋 淳子 産業技術総合研究所, 計測標準研究部門, 主任研究員 (80415702)
|
研究期間 (年度) |
2011
|
研究課題ステータス |
中途終了 (2011年度)
|
配分額 *注記 |
3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2012年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2011年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
|
キーワード | X線 / 放射線治療 / 増感剤 / 金ナノ粒子 / 活性酸素 / 腫瘍 / ミトコンドリア / 抗体 |
研究概要 |
腫瘍細胞の標的部位に集積する機能を付与した金ナノ粒子をX線治療用増感剤として用いることで、深部・大容積のがん治療に役立つX線光線力学的治療(XPDT)を提案した。H23は、1)X線エネルギー伝達計測、2)エネルギー変換メカニズム解析、3)活性酸素種発生量計測を行った。また、H24に予定していた4)腫瘍集積性のバイオコンジュゲート合成、5)in vitro腫瘍細胞影響評価に加え、6)in vivoの予備実験を前倒しで実施した。その結果、以下の結果が得られた。 ・エネルギー変換メカニズムと活性酸素種の測定 金ナノ粒子によって吸収されたX線の一部は、光電効果により電子を発生させ、周囲の酸素を還元し、反応性の高い活性酸素を発生する。その結果、一重項酸素、スーパーオキシド、ヒドロキシラジカルが発生していることがわかった。 ・バイオコンジュゲート合成 腫瘍集積性を高めるために、腫瘍細胞に高発現するトランスフェリン、EGFR、TRALなどで修飾したカチオン性脂質やリポソームを用い、細胞内に金ナノ粒子複合体を導入した。一次抗体として、ミトコンドリア等に高発現しているVDAC1、COX4を結合させ、金ナノ粒子をミトコンドリア近傍に送達する複合体を合成した。 ・in vitroおよびin vivo腫瘍細胞影響評価 合成した金ナノ粒子複合体を、HeLa細胞に投与し、X線照射下で生存率を調べた結果、15GyのX線照射下で1.4nmの金ナノ粒子複合体投与群で、有意に細胞生存率が低下した。in vivoではB16の黒色メラノーマ担がんマウスに投与し、30GyのX線照射下で、金ナノ粒子投与群で、腫瘍体積増加率が有意に減少することを確認した。 以上のことから、金ナノ粒子複合体がX線治療の増感剤として有効であり、XPDTの確立に必要なX線条件および細胞内送達方法等の基本要件が明らかになった。
|