研究課題
挑戦的萌芽研究
【目的】PSAは前立腺癌の診断および治療マーカーとして広く用いられているが、特異度が低い、悪性度と相関しない、といった問題点があり、PSAを補完するバイオマーカーが求められている。一方、Nardilysin (NRDc)はHG-EGFやTNFαなどの前駆体に対する細胞外シェディングの増強因子である。今回我々は、NRDcの前立腺癌における悪性度との関連を解析し、予後予測マーカーとなり得るかどうかの検討を行った。【方法】LNCaP, PC3細胞でのNRDcの発現を評価し、その強制発現やノックダウンによる浸潤能の変化をMatrigel invasion assayにて検討し、さらにin vivo増殖能の変化をマウス皮下xenograftモデルにて検討した。前立腺癌組織における免疫染色によるNRDc発現の評価と、患者血清におけるELISA法によるNRDc濃度の測定を行い、前立腺癌の悪性度との相関を検討した。【結果】NRDcの発現はLNCaPと比較しPC3で高く、その浸潤能とin vivo増殖能は、PC3でのNRDcノックダウンにより低下した。免疫染色において組織におけるNRDcの発現が高い症例においてPSA再発を来しやすい傾向を認めた(p=0.30)。血 清NRDc濃度は血清PSA濃度と相関を認めず、正常(303 pg/ml±510, n=20)と比較して前立腺患者(652 pg/ml±1950, n=161)で高かった(p=0.0269)。また、血清NRDc濃度は転移を有する患者でより高い傾向を認め、予後に相関する傾向を認めた。【結論】NRDcは前立腺癌の浸潤や増殖に関わり、その組織における発現や血清中濃度は、予後不良前立腺癌の診断マーカーとして有用である可能性が示唆された。
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