研究概要 |
最近では,癌細胞膜融解による細胞殺傷効果を有する「爆薬ペプチド」と癌細胞表面分子と結合する特異的な「弾頭ペプチド」を組み合わせた抗癌活性を有する「hybrid peptide」の有用性が,分担研究者らにより確認されている.悪性黒色腫は悪性度が高く完全治癒の期待出来ない難治性の癌腫である.また,口腔癌も進行例では難治性の癌腫である.そこで,悪性黒色腫および口腔癌に対するIL-4R-hybrid peptideの抗腫瘍効果について検討を行った.口腔癌では,臨床病理標本において正常上皮に比較してIL-4Rの発現レベルが高いことが確認され,その癌細胞株においてもIL-4Rの発現レベルは正常口腔上皮細胞に比較して高いことが確認された.IL4-lytic hybrid peptideは,in vitroにおいてIL4受容体が高発現している癌細胞株に対して,効果的な殺細胞効果を示し、また、口腔癌細胞株を用いたin vivo におけるマウス異種モデルにおいても用量依存性に抗腫瘍効果を発揮することが確認された.しかし,悪性黒色腫に対するIL4-lyticの効果は検証出来ていない。
|