少子化という言葉の定着が示すように、子どもを産まない女性は増加の一途をたどっている.本研究は生殖年齢にありながら妊娠や出産に対して消極的な女性とその母親世代の女性たち29名への聞き取り調査を行い、現代の女性たちの身体観に焦点を当てつつ「女性の健康支援」を検討した.調査の結果,生殖をめぐる身近な女性でさえも女性の身体を生殖から切り離している,自らの身体の生殖性を大切にされない経験,娘の身体の生殖にかかわる部分に距離を置く母親,生殖が女性の社会的地位と対立するかのように位置づけられているという特徴が母娘二世代に及んで確認でき,生殖をめぐる女性の身体や健康に関する伝承は期待できない状態を確認した.
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