研究課題
若手研究(A)
ランダム・ウォークは、ネットワーク上で起こる拡散ダイナミクスをモデル化したものであり、情報拡散などのモデリングに広く用いられている。通常、ランダム・ウォークは、有限または無限の静止したネットワーク上で解析されてきた。また、有限ネットワークでノードの重要性を決める指標を構築するために、ランダム・ウォークが有効であることが知られている。しかし、本研究が主題としているように、ランダム・ウォークや他のネットワークがその上で起こっているネットワークは実際には間欠的に起こっていると見なすことが適切である状況が多い。そこで、本年度は、間欠的にノード間の相互作用が起こっているネットワークにおけるランダム・ウォークを定式化し、その解析を行った。特に、時間方向に周期的境界条件を課すことにより、ランダム・ウォークの定常確率を定義し、また反復法でその値を有効に求めることが可能であることを示した。さらには、元の時間的に変動するネットワークから導かれる枝に方向がついた有効ネットワークと呼ばれる静的なネットワークを定義し、提案されたランダム・ウォークの定常確率は、有効ネットワークの定常確率と一致することを示した。ここで、元のネットワークには枝に方向がついていなくても、時間的方向が原因で、有効ネットワークでは枝が方向つきであることに留意する。また、有効ネットワークは通常枝が密であるため、定常確率をその次数で近似することが精度の高い近似であることを、いくつかの現実のネットワークにおける数値計算によって示した。得られた定常確率は、動的なネットワークにおける頂点の重要性指標として解釈することができる。これらの理論的結果は、査読つき国際論文誌に投稿され、かつ、プレプリント・サーバーで公開された。
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
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