研究課題
若手研究(A)
本年度は、角度決定精度に優れたAshra検出器を用いて、大気チェレンコフ法による超高エネルギー宇宙線加速源からのタウニュートリノ観測を高効率で行った。超高エネルギー宇宙線加速源候補天体からのニュートリノ検出は、加速メカニズム解明に決定的な役割を果たす。大気チェレンコフ法は、山・地殻をニュートリノ標的とて使用するユニークな検出方法で、10~100PeVにて最高の点源感度を達成することができる(PeV=1015eV)。大気チェレンコフ法による超高エネルギー宇宙線加速源からのタウニュートリノ観測において、角度決定精度はバックグラウンド事象からのニュートリノ識別及び加速源特定のために非常に重要である。本年度は、到来方向の事象再構成方法を確立し、ニュートリノ事象に対する到来方向決定精度の系統的な評価を進めた。具体的には、Likelihood解析を用いた精細チェレンコフシャワーの事象再構成により、100PeV陽子に対する角度精度を、様々な条件に対して定量的に見積もった。この詳細な解析結果は、バックグラウンド事象や感度の見積及び系統誤差の評価と共にAstroparticle Physicsにて出版した。さらに、新たに雇用したプロジェクト研究員と共に前年度にインストールしたトリガー読み出し系を使用した定常観測を継続した。観測システムの安定化および自動化を目指して、プロジェクト研究員が中心となって、Run Control Systemの開発・実装を行った。その結果、高効率観測を1年間継続することができ、最大観測可能時間2006時間に対し、実観測時間1874時間を達成した。好天率は97%、稼働率は96%である。本補助金は、プロジェクト研究員雇用のための費用及び、調整、観測に必要な諸経費と、研究代表者、研究協力者の渡航、滞在費として使用した。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (5件) 備考 (2件)
Astroparticle Physics
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