研究課題/領域番号 |
23700299
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 基金 |
研究分野 |
図書館情報学・人文社会情報学
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
光岡 寿郎 早稲田大学, 演劇博物館, 助手 (80580464)
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研究期間 (年度) |
2011
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研究課題ステータス |
中途終了 (2011年度)
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配分額 *注記 |
2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2013年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2012年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2011年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | ミュージアム / メディア / デジタル・テクノロジー / 来館者 |
研究概要 |
当研究は、1990年代以降のミュージアムにおけるデジタル・テクノロジー導入の影響を、主として教育学において議論されてきた来館者の主体的な学びを支える「手段/道具」としてではなく、むしろデジタル・テクノロジーに媒介された私たちの知識の受容のあり方の変容として理解することを目標としている。 今年度は3年間の研究計画における初年度であったが、まずはその基礎として、英語圏、とりわけオーストラリア、ニュージーランドで近年活発に議論されているデジタル文化遺産論(Digital Heritage Studies)の文献を中心に、ミュージアム研究(Museum Studies)における最先端の議論の概要を把握することに努めた。その成果は、2012年3月に『演劇映像学』に掲載された「ミュージアムにおけるインタラクティビティの両義性」という論文にまとめている。 日本の博物館学においては、そもそもミュージアムにおけるデジタル・テクノロジーを主題とした研究自体の蓄積が極めて薄いため、当論文においてはまず、デジタル技術がミュージアムに与えた影響を論ずるための枠組みとして「双方向性(interactivity)の拡大」と「真正性(authenticity)の揺らぎ」の二つの観点が有効であることを指摘した。その上で、デジタル・テクノロジーが可能にしたミュージアムにおける「双方向性」に焦点を絞って論を進めた。端的に言えば、ミュージアムにおける双方向性は、教育学における「主体的な学び」といった理論背景のもとに推進されてきた一方で、その内実は来館者の主体性を担保するどころか、むしろより巧妙に管理のシステムとして機能している可能性があることを指摘した。この視点を提出することで、ミュージアムにおけるデジタル・テクノロジー利用の議論が、単に「ミュージア論」としてではなく、同様にデジタル・テクノロジーの影響を強く受けた同時代のメディア環境と地続きであることを示唆できた点は、今後の本領域の研究においても一定の貢献になるのではないかと考えている。
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