研究概要 |
本研究課題は,3つの研究に基づいて進められた。それぞれの目的は以下のとおりであった。研究1:後期中等教育段階,高等教育段階にある高校生や大学生の「書くこと」に対する認識とその実態について調べる(調査研究)。研究2:他者に対して,自分の考えを的確かつ論理的に示す場合に必要となる教育的介入を開発する。同時に,これらの教育的介入の効果について,集団実験をもとに検討する(実験研究)。なお,ここでは,高校生を被験者とする(実験研究)。研究3:開発された教育的介入の有効性を評価するために,介入を受けた高校生が書く意見文の質に変容が見られるかどうかを検討する(実践研究)。2011年度と2012年度にわたって,大阪府および広島県の高校生および大学生を対象として調査・研究した結果,以下が明らかとなった。研究1:高校生や大学生は,「文章の構成」に対する意識が高く,特に高校生においては,自分の考えそのものを思いつくことや自分の考えを構成することに問題を感じている。研究2:「根拠産出トレーニング」と「裏づけ発想トレーニング」を開発し,高校生を対象に実施したところ,トレーニングを受けた群は,根拠や裏づけを自発的に産出できるようになった。研究3:「根拠産出トレーニング」を経験した群(実験群)と経験しなかった群(対照群)とで,産出された意見文に「根拠」が含まれているかどうかを評価したところ,実験群では,トレーニングの直後に産出された意見文で,すべての生徒が根拠を示すようになっていた。
|