本研究では、文化財公開施設等において、施設の新旧や設備の充実度、予算規模にかかわらず導入しやすい汎用的な高精度微生物汚染度評価システムの構築を目的として、各種の検討を行った。その結果、1)比較的簡易な分子生物学的手法を適用することで、文化財および文化財収蔵環境に発生する微生物を高感度で検出できること、2)文化財収蔵環境において殺菌、殺虫目的で使用される燻蒸剤、殺菌剤、防虫剤などの残留が検出感度に大きな影響を及ぼさないこと、3)環境の温度湿度モニタリングと分子生物学的手法による微生物モニタリングを総合的に解釈することにより、有害微生物の初期侵入および汚染範囲を客観的に把握できることが示された。
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