治療行為を受ける際に、基盤となるのが身体である。それはバリでも同じだが、彼らの場合、生身の肉体のほかに、「みえない身体(魂)」という概念を設定し、これが健康に大きく影響すると考える。「身体」がどのように概念化されているのかを知ることは、身体観のみならず健康観、病観、社会的成熟、身体に関する民俗的な浄と不浄、さらには死生観にまで連関して理解することが必要となる。本研究では、通過儀礼・葬送儀礼・治療儀礼の事例から民俗世界における身体観を明らかし、なにゆえ儀礼にまつわる身体観を表現する文化的イディオムが存在するのかを考察した。
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