日英語に見られる「壁にペンキを塗る/壁をペンキで塗る」‘spray paint onto the wall / spray the wall with paint’のような交替現象の成立原理を考察した。 この現象は、同じ現実の出来事が言語の上で位置変化(の下位タイプ)と状態変化(の下位タイプ)の二通りに類型化されることで成立する現象であり、動詞の範疇的意味に「格体制を決定する階層>交替の可否を決定する階層>交替パターンを決定する階層」を想定することで説明できる。日英語の現象は同じ成立原理を持つ一方で交替動詞のリストに一部相違を持つが、この相違は個々の動詞の語彙的意味の面から説明できる。
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