研究概要 |
1980年代以来,批判法学という革新的法学運動の論客として知られてきたハーバード・ロー・スクール教授ロベルト・アンガーの法社会理論の方法論("制度構想の法学")は,法学を,その裡(うち)にそもそも胎動させている"新しい制度を構想する力"を十分に発揮できる学知へと革新すべきことを説く。本研究は,新しい政策論や制度論を論じることのできる創発的な市民・公務員・専門家の育成が焦眉の課題となっている今のわが国においてこそ,こうした創造力/想像力豊かな法学が求められている,ということを主張するとともに,実際,昨今わが国で活発に議論されている「公(法)私(法)協働論」は,アンガーの方法論的な観点からすると,創発的な制度構想論として積極的に評価・再解釈できるということを主張するものである。法学は,解釈する学問であると同時に(あるいはそれ以上に),創造する学問となることができる,これが本研究の基底的なメッセージである。
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