本研究は、第1次世界大戦から第2次世界大戦までの期間(以下「戦間期」と記す)のイギリスにおける国際関係学の発展を、ナショナリズムをめぐる議論と関連付けながら歴史的に再検討することを目指した。研究の過程においては、新設されたシンクタンク「王立国際問題研究所(通称「チャタム・ハウス」)」の研究グループの議論に着目し、そこで戦間期の国際関係をめぐる概念や理論が、日々変化する国際政治情勢など経験的な事実と擦り合わされながら発展したことを明らかにした。これにより、国際関係をめぐるさまざまな知的営為が歴史的文脈を離れて抽象的には思弁され得ないことが示唆され、学説史研究に一つの視点を付け加えるに至った。
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