研究概要 |
感染症の発生は観光活動へ甚大な被害を与える。本研究の目的は感染症を対象とした観光行動および社会厚生への影響を分析することである。社会厚生の変化を計測するために,鳥インフルエンザを対象とした予防施策に対する支払意思額の調査を行った。全国で発生している鳥インフルエンザ対策への支払意思額は,約 1 週間で除菌作業を行った場合において 1553 円/年であり,約 1 年の場合 591 円/年となった。次に,ある観光地で感染症が発生した場合,どのような政策(情報提供)が観光客の再訪問の意向を高めるかについて仮想行動法によって調査した。その結果,政府からの旅行安全宣言の広報が主要な政策であり,また,そのサイトへの関心を高める経済政策を実行することの重要性が示唆された。さらに,多くの人が訪問しているという情報を広めることによって観光需要が回復する期間を早めることができる可能性が示唆された。
|