本研究では、アナリストが直面する様々な利益相反問題を系統立てて整理し、アナリストの予想特性を明らかにしている。アナリストは、調査対象の企業や経営者と良好な関係を保つため、証券会社の投資銀行部門での収益を増やすため、ブローカレッジ部門を活性化させるために楽観的な予想を公表していた。また、アナリストには、楽観的バイアスに繋がる動機以外にも、精度の高い予想を公表することによって良い評判を獲得、それが自らのキャリア・アップに繋がるという動機も持ち合わせているのである。このように、アナリストは、様々な動機に基づくジレンマに直面しているということを明らかにした。
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