研究概要 |
経済構造の変化に伴い,日本においても平成23 年3 月31 日以後終了する連結会計年度より包括利益の導入が決定された.しかしながら,貸借対照表上のすべての未実現項目が包括利益として計上されるわけではない.よって,なぜ限定された項目のみが包括利益として計上されるのか課題として残されている.このような問題意識の下,本研究は,特定項目がいかなる事実を踏まえ時価評価され,その変動額が包括利益計算へ含められるのか導いた上で,包括利益計上の意味を明らかにすることを目的としている。具体的には,売却可能有価証券の評価差額を包括利益計算へ含める背景について検討を行った.例えば,売却可能有価証券について,期末時点の保有段階で評価差額を損益計算へ含めるという考え方と,売却しないことを前提に保有している経営者の意思決定に基づき,売却するまで損益を認識しないという考え方の対立である.
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