本研究は、戦後日本の社会教育行政における婦人教育政策の展開とその内容に関するジェンダー・ポリティクスを分析した。婦人教育は、歴史的に家庭教育や純潔教育と統合されて行政機構の中に組み込まれた経緯を持つ。 学校教育から疎外されてきた女性にとって、社会教育は重要な学習機会であると同時に学校教育に代わる社会化エージェントである。女性を対象とする社会教育は、国家にとって「のぞましい女性像」をあてはめる側面と、性差別に気付き、変革を目指そうとする女性解放のツールとしての側面があり、この両者の思惑が交錯する政策領域といえる。
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