研究課題
若手研究(B)
メタンハイドレートは次世代のエネルギーとして注目されており、我が国では南海トラフ周辺に日本の天然ガス消費量の約12年分に相当する膨大な資源量があると推定されている。今なお地下圏で起こりつつあるメタンハイドレート生成の要因、特に生物的な炭化水素生成機序の詳細はほとんど分かっていない。本研究は、深部地下圏における炭化水素の生成-消費に中核的役割をになう未知微生物群を分離-培養することを目的とした。本年度は既に分離-培養がなされているものの、その詳細が全く不明な、嫌気的エタンガス生成微生物の性状解析を中心に行った。まず、安定同位体追従手法を用いて、嫌気的エタン生成反応における根源物質の同定を試みた。すなわち安定同位体(13C)で標識した複数種の化合物をエタン生成菌の栄養基質として培養し、放出されるエタンガスの同位体比を測定することで、エタン生成反応における利用基質を同定した。また、安定同位体追従手法で得られた情報に基づき、嫌気的エタン生成反応に伴う炭素同位体分別(εC2H6-C2)を明らかとした。この結果、当該微生物種が生成するエタンガスの炭素同位体比(δ13C)は、これまで熱分解起源とされてきたエタンガスの炭素同位体比と比較して、含有する12Cの割合が多かったものの、メタンハイドレートならびに深部地下圏から検出される生物由来のエタンガスの同位体比と調和的な値であった。これらの情報をもとに、実環境中における重要エタンガス生成菌の取得を試みる予定である。
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