配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2012年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2011年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
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研究概要 |
本年度は,対象とする分子の低振動モードを効率的に励起するための高強度テラヘルツ光源と,発生させたテラヘルツ光電場の時間挙動とスペクトルを観測するための光学系を設計および構築した。本光学系では,チタンサファイア再生増幅器からの出力を2つに分割し,一方をテラヘルツ光発生に,もう一方を,発生させたテラヘルツ光の電気光学サンプリング法による検出に用いた。テラヘルツ光発生用の光パルスは回折格子によって回折させることでパル前面を傾斜させた後に光整流用の非線形光学結晶に集光した。この際,非線形光学結晶中に集光するのに用いたレンズの位置を変えることでパルス前面の傾斜角を制御し,それによってテラヘルツ光のピーク波数とスペクトル形が可変となるようにした。得られたテラヘルツ光の電場の時間挙動およびスペクトルは,テラヘルツ光と検出光をテルル化亜鉛結晶に重ねて入射させることによって生じる電気光学効果を用いて観測した。 発生したテラヘルツ電場の振幅が最大となるような最適条件では,得られたテラヘルツ光のスペクトルは20cm^<-1>付近にピークを示した。非線形光学結晶への集光レンズの位置を変化させることで,ピーク位置を10から20cm^<-1>の範囲で変化させることが可能であることが分かった。現在のところテラヘルツ領域に感度を持つ検出器を所有しておらず,その光強度を定量的に測定することはできなかった。しかし,本研究では,発生したテラヘルツ光電場の時間挙動を,電気光学結晶に集光しなくても観測することができた。このことから,分子の低振動モードを効率的に励起することのできるだけの出力を持ったテラヘルツ光が得られたと考えている。
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