配分額 *注記 |
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2012年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2011年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
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研究概要 |
液晶-液体キラル界面を用いた新規界面縮合重合法を用いることでナイロンにらせん構造を付与できる不斉重合法を開発した。 (1)セバコイルクロリド(sebacoyl chloride)を含むキラルネマチック液晶が、ヘキサメチレンジアミン(hexamethylenediamine)と水酸化ナトリウム(NaOH)を含む水溶液と接する界面で縮合重合を行うことにより、薄膜状のナイロン6,10が合成できることを見出した。 (2)得られたナイロン6,10の走査型電子顕微鏡による観察の結果、液体(CHCl_3)/液体(水)界面では球状の構造、液晶(ネマチック液晶)/液体界面では一方向に伸びた構造の形態が見られた。これに対し、キラルネマチック液晶/液体界面で得られたナイロン6,10では、液晶のドメイン構造を写し取ったようなスパイラル形態を示す一方、微視的にはポリマー束のねじれに対応した縞模様からなるglobular構造をとることがわかった。これにより、キラルネマチック液晶のねじれ構造が生成物であるナイロン6,10の形状に反映されていることが示された。 (3)次に、硫酸に溶かしたナイロン6,10の比旋光度を測定した。右巻きおよび左巻きのキラルネマチック液晶からなる界面重合で合成したナイロン6,10は、それぞれ+3.87および-3.78の値を示し、光学活性を有することを確認した。これにより、使用するキラルネマチック液晶の巻き方向を変えることで、生成するナイロンの旋光性を厳密に制御できることが明らかになった。
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