研究課題
若手研究(B)
本研究課題では、Phytochrome Interacting Factor(PIF)とは独立した、フィトクロムの新規情報伝達機構の解明を目指して研究を行った。2012年度は、前年度に得た光依存的にフィトクロムと相互作用する転写因子であるPhytochrome Interacting Zinc finger 1(PIZ1)の生理機能を明らかにするために、シロイヌナズナのPIZ1過剰発現体とpiz1を行った。その結果PIZ1過剰発観体とpiz1欠損変異体は赤色光条件下での胚軸伸長抑制などのフィトクロムにより制御される典型的な形質において顕著な表現型を示さなかった。また、前年度までにフィトクロムの情報伝達に関わることを示したGIP1(GBF-Interacting Protein 1)に関して、転写因子である(BFI(G-box Binding Factor 1)との相互作用をYeast-Two-Hybrid法により調べたところ、GIPIと(BF1の相互作用が確認された。次に、GIP1/(BF1複合体が結合する染色体上の配列を同定するために、GIPlと緑色蛍光タンパク質(GFP,)の融合タンパク質(GIP1-GFP)を発現する形質転換体を材料としてクロマチン免疫沈降-シーケンスを試みたがGFP抗体を用いた免疫沈降法によってGIP1-GFPタンパク質を得ることができなかったため、GIP1/(BF1複合体が結合するDNA、配列を同定できなかった。期間全体を通して、GIP1がフィトクロムの下流で機能することを明らかにできたことは、フィトクロムの情報伝達の全容解明のための極めて重要な知見である。また、PIZ1に関しては、本研究期間ではフィトクロム情報伝達における役割を明らかにできなかったが、今後より詳細な解析を進めることによりフィトクロムの情報伝達機構をより理解するためのブレークスルーとなり得る。
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