研究課題/領域番号 |
23790142
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 基金 |
研究分野 |
創薬化学
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研究機関 | 東京薬科大学 |
研究代表者 |
薬師寺 文華 東京薬科大学, 薬学部, 助教 (40548476)
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研究期間 (年度) |
2011 – 2013
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研究課題ステータス |
中途終了 (2011年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2014年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2013年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2012年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2011年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | ハイブリッド / 抗菌活性剤 / ホロチン / RNA ポリメラーゼ / ミキソピロニン / RNAポリメラーゼ / ホロマイシン |
研究概要 |
平成24年度は昨年度からの継続研究として、機能性ホロチン分子とのハイブリッド型誘導体、即ち、チオマリノール誘導体とミキソピロニン誘導体の化合物ライブラリー構築を行った。得られた新規誘導体においてペーパーディスク法による抗菌活性定性試験を行ったところ、新たな抗菌活性化合物を見出すことができた。また、本化合物において8種の菌株を用いた高次抗菌活性試験を実施したところ、グラム陽性菌選択的な阻害活性を示すことが明らかとなった。さらに、細菌性 RNA ポリメラーゼに対する阻害活性試験を試みたところ、所望の阻害作用を有することも示された。一方、効率的な化合物ライブラリーの構築を目的としピロン体およびヒドロキシクマリン体に対する直截的官能基化反応の検討を行った結果、パラジウム触媒を用いた新規官能基化反応を確立することができた。本化合物群においても現在抗菌活性定性試験の実施を試みており、新規ハブリッド型化合物群の獲得に向けた基盤を築くことができた。 また、ミキソピロニンと同様に細菌性 RNA ポリメラーゼ阻害作用を有することが報告されている抗菌性天然物リポスタチンの合成については、その逆合成解析を行い、フラグメント合成に着手した。すでに全合成が3例報告されているが、より効率的な合成ルートの検討を行い骨格合成を試みるとともに、機能性分子ホロチンとのハイブリッド型化合物の構築へとつなげていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
24年度は、昨年度構築した化合物ライブラリーの拡充を行い、新規ハイブリッド型抗菌性化合物を見出すことができた。また、本化合物は大腸菌由来 RNA ポリメラーゼに対して阻害活性を示したことから、分子モデリングを用いたドッキングスタディーを行った。その結果、新規抗菌性化合物はミキソピロニン結合部位に結合することで阻害作用を示すことが示唆された。一方、より効率的な抗菌性化合物ライブラリーの構築を試みるべく、ピロン環およびヒドロキシクマリンに対する直截的官能基化反応を検討したところ、パラジウム触媒を用いることで C3 位選択的官能基化が進行することを見出した。さらに、機能性ホロチン分子のオキソンを用いた酸化反応を計算化学的手法を用いて考察することで、硫黄原子における選択的酸化反応の反応機構を検討した。 24年度は機能性分子ホロチンとのハイブリッド型化合物の合成、構造活性相関に留まらず、派生したテーマであるピロン環およびヒドロキシクマリンに対する直截的官能基化の検討や、ホロチン部の酸化反応における反応機構の検討も行い、本研究内容を深めることができた。一方、24年度の研究計画であるリポスタチンの合成研究では、主要骨格の合成には至らなかったもののフラグメント合成に着手していることから、今後は派生テーマとともにリポスタチンの合成、誘導体構築に力を入れ、研究を進めていく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
25年度は、作年度に引続き、抗菌性天然物リポスタチンとホロチン部のハイブリッド型誘導体設計及び合成を行う。リポスタチンの全合成は3例報告されているが、より効率的な合成法の確立と、ハイブリッド型化合物への誘導化、さらに簡素化を目指す。まずは、前年度に構築しているフラグメントを用いて、リポスタチン骨格の形成を行う。さらに、合成ルート確立後は、誘導可能な合成中間体と機能性分子ホロチンを縮合させることで、リポスタチン型合成ハイブリッド化合物のライブラリーを構築する。リポスタチンでは、細菌性 RNA ポリメラーゼとの X 線結晶構造解析が報告されていないことから、ミキソピロニンのモデルを参考にドッキングスタディーを試みる。本検討をもとに、官能基変換や部分異性体への誘導を繰り返すことで活性向上を目指し、分子構造の最適化を図る。
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次年度の研究費の使用計画 |
24年度における次年度使用額は、予定していた学会への参加を見送ったため生じたものである。 これより平成25年度は、次年度使用額を合わせ CIMAREC 社製 TLC 用ホットプレート HP131224 の導入を検討している。また、本研究の遂行において、ハイブリッド型誘導体の合成研究を行い化合物ライブラリーを構築するには相当量の合成実験が必要であることから、有機・無機試薬、有機溶媒、ガラス器具を消耗品として計上している。一方、学会参加による国内、海外旅費は、研究成果の発表および有意義な討議により得られる情報収集のためには欠かせない。さらに、研究打合わせや、学会発表、英文校閲、論文投稿では、複写費や通信費、論文校閲費、投稿費等が必要であり、本研究の進展を支えるものとして使用計画に加えている。
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