研究課題
若手研究(B)
慢性骨髄性白血病(CML)はBCR-ABL融合遺伝子によって引き起こされ、最終的に急性転化(BC)に至るが、BC発症の分子メカニズムの大部分は未だ不明のままである。我々は、CML-BC症例の約4割において、Notchの下流で働く転写因子であるHes1の発現が上昇しており、BCR-ABLとHes1を同時に感染導入するマウス移植実験ではKSL分画だけではなく前駆細胞(CMP、GMP)の移植においても移植後非常に早期にCML-BC様の病態を発症し死に至らしめ、CML-BCの発症にHes1発現上昇が強く関わっていることを以前に報告した。今回我々は、発現アレイ等の解析により、Hes1によってMMP-9が強く発現誘導されることを見いだした。またMMP-9プロモーター領域のルシフェラーゼアッセイを行い、Hes1がNF-kBを介してMMP-9を誘導することを見いだした。さらに、ヒト由来サンプルの解析では、CML-BC20サンプルのうち3サンプルにおいてMMP-9の発現上昇を認め、そのうち2症例においてHes1も高値であった。興味深いことに、MMP-9WTもしくはKOマウス由来CMPにBCR-ABLとHes1を導入し行った移植実験において、MMP-9の欠損がCML-BCの発症を有意に遅らせた。さらに、MMP-9はsKitLのsheddingを誘導することが知られているが、本CML-BCマウスモデルにおいても、MMP-9欠損によりレシピエントマウス血漿中のsKitLが有意に減少し、腫瘍細胞の増殖が低下することを確認した。これらの結果は、Hes1によるMMP-9発現誘導が一部のCML-BCの発症・増悪に関与していることを示唆しており、今後の有用な治療標的になることが期待される。
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