研究概要 |
平成23(2011)年度は既開発の簡易パルスシーケンスシミュレータに対して、(1)勾配磁場をモデルに組み込むことで空間情報を反映し、その効果をデジタルファントムで検証した。(2)複数種類のRFパルス、パルスシーケンスを実装し、TR, TE, フリップ角、バンド幅, 勾配磁場の立ち上がりの早さ、ならびに最大値を任意に設定できるようにした。(3)シミュレーションの結果を動画として保存する機能を実装し、教育用ソフトウェアとしての付加価値を高めた。(4)実行形式のプログラムを教室ホームページで一般公開した。(4)背景信号抑制に用いられる反転パルスを複数組み合わせた場合の信号変化をシミュレートする簡易的なソフトウェアを開発し、骨盤部time-SLIP法においてその検証を行った。平成24(2012)年度は(1)ワークステーションを導入し、約10,000個のスピンの挙動をシミュレート可能になった。(2)シミュレーションソフトウェアを国内学会(2012年4月、日本医学放射線学会)および国際学会(2012年11月、北米放射線学会)で発表した。また、巨視的磁化のシミュレーション結果を骨盤部の非造影血管撮像法に適用した結果も同学会で発表した。(3)生データからの画像再構成プログラムを開発した。実際のMRI撮像装置から得られた3次元脳血管画像のデータをもとに、圧縮センシングの手法を用いて約20%のデータから、鮮明な脳血管画像を得ることに成功し、国内の学会で発表を行った(2012年12月、圧縮センシングとその周辺(4))。これはMRI装置メーカーでも未だ実装がすすんでいない最先端の再構成手法であり、今後も大きな研究の発展が期待される。
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