研究課題
若手研究(B)
本研究では凍結融解壊死療法が再現性をもって遠隔腫瘍に影響するモデルの確立を先ず目指す。immunocompetentなC57/BL6マウスを用いた。腫瘍を両側大腿部に移植し、実験を行った。腫瘍が約10mm大となった際に片側腫瘍の凍結融解を行ったが、10mm大ではすでに壊死性変化が見られる場合があり、微妙な差ではあるが8mm大から実験を行うこととした。直径約1mmの凍結端子では腫瘍の約50%までの凍結範囲しか得られなかったため、直径約2mmの端子を用いた。両側大腿部では皮膚の張力が高く、2mm端子の刺入は困難であったため両側の背部に腫瘍を移植することとした。病理組織学的には、凍結時間2分で約80%の凍結範囲が得られた。凍結時間1分でも約50~70%の凍結範囲が得られ、凍結時間による凍結範囲の制御にはさらなる検討が必要であった。上記よりルイス肺癌株を用いた実験では凍結時間2分で行った。凍結を行わない群では2週間後に腫瘍推定重量は約1150%増大した。これに対し凍結を行った腫瘍は2週間後に約600%の増大に留まった。また、凍結を行った群の対側の腫瘍は2週間後に約800%の増大に留まった。B16メラノーマ細胞株で同様の実験を試みたが、腫瘍がゼリー状であり、凍結端子穿刺により周囲に播種巣が形成されてしまい、さらなる工夫が必要と考えられた。一方ルイス肺癌株は腫瘍のほぼ100%が腫瘍細胞で構築されており、proof of principleを見る実験には適していると考えられた。アザン染色を行ったところ、壊死範囲の近傍においても膠原線維は比較的保たれている可能性が考えられ、細胞破壊が主体である可能性があった。以上よりルイス肺癌細胞株-C57/BL6マウス、2mm端子凍結時間2分で実験を進められる可能性が考えられた。
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