研究課題
若手研究(B)
正常歯肉線維芽細胞や間葉系幹細胞で時計遺伝子Clock,Bmal1/2,Dec1/2,Per1/2/3が概日リズムを形成した。また、時計遺伝子以外にも、Snail,Smad3,VEGFなどがリズム形成を示し、これらの細胞で損傷時の組織修復が、概日リズム制御下で行われている可能性を指摘した。また、肝細胞癌細胞株HepG2で、Dec2が概日リズムを形成し、正常細胞だけでなく、腫瘍細胞でも時計遺伝子がリズム形成していることを示した。口腔癌細胞株HSC-3で、抗癌剤の一つであるシスプラチンで処理すると、アポトーシス誘導に伴って、Dec2発現が上昇し、シスプラチンによるアポトーシス誘導を、ミトコンドリアに存在するBimを介して抑制することを見出した。この結果はDec2が、抗アポトーシス効果をもつことと考えられる。膵臓癌細胞株Panc-1やBxPC-3では、TGF-beta処理により、癌細胞の浸潤能や遊走能が上昇し、Epithelial-mesenchymal transition (EMT)を引き起こし、悪性度が増すことが報告されているが、癌における時計遺伝子との関連は明らかでない。本研究により、TGF-beta処理で、Dec1/2の発現が上昇し、EMT関連因子を制御して、癌細胞の浸潤能や遊走能を制御することを示した。これらの知見により、時計遺伝子Dec1/2は、概日リズムのもとで、癌細胞のアポトーシス、浸潤能や遊走能を制御することが示され、今後の癌の発育進展に新たな知見をもたらした。
すべて 2011
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (3件) 図書 (2件)
Immunol Lett
巻: 136 号: 1 ページ: 37-43
10.1016/j.imlet.2010.11.009
J. Pathol
巻: 224(3) 号: 3 ページ: 420-429
10.1002/path.2878
Eur J Cancer
巻: 47(11) 号: 11 ページ: 1747-58
10.1016/j.ejca.2011.02.025
Int J Mol Med
巻: 27 号: 4 ページ: 491-495
10.3892/ijmm.2011.617