研究概要 |
歯の欠損後の顎骨は急速に吸収され、その後のインプラントや義歯補綴などの歯科治療を困難にする。強力な骨形成作用をもつ小分子化合物が開発できれば、既存の骨形成因子の課題の多くをより容易に解決できると期待される。申請者は、骨芽細胞が分化すると発光するように遺伝子操作することで、多種類の小分子化合物が含まれるライブラリーから骨芽細胞分化を促すものを系統的かつ迅速に抽出するシステムを作製することを着想した。本研究の目的は、骨芽細胞を用いた小分子化合物スクリーニングシステムを構築し,得られた化合物を利用して新規骨組織再生材料を開発することである。そのため、骨芽細胞分化の過程で高発現する因子であるI型コラーゲンのレポーター骨芽細胞を基盤としたスクリーニングシステムを構築し、新規の骨分化促進化合物を同定することを試みた。I型コラーゲン遺伝子の発現に伴いGFP蛍光を発現するように遺伝子操作した骨芽細胞を96 well培養プレートに播種し,既知の骨芽細胞分化促進因子であるBMP2成長因子あるいは小分子化合物(Phenamil, Resveratrol, Harmine)を添加した骨芽細胞分化誘導培地で培養した。培養7日後に蛍光マイクロプレートリーダーによりGFP蛍光量を測定し、これら骨芽細胞分化促進化合物の添加によってレポーター骨芽細胞におけるGFP蛍光発現が増強されることを確認した。今後、このシステムを用いて小分子化合物を含むライブラリーのスクリーニングを行う予定であったが、申請者の辞職に伴う科学研究費応募資格の喪失により実験を終了するに至った。
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