研究課題
若手研究(B)
顎変形症は上顎骨と下顎骨の形態形成時の不調和により発症する。顎変形を伴う症候群は顎変形症全体の5%以下で、ほとんどの顎変形症は、成長に伴い顎変形が出現し思春期以降に顕著になる。顎変形症の分子メカニズムの一端を明らかにすることを目指し、Id2遺伝子欠損マウスの解析を行った。Euclidean Distance Matrix Analysis を用いて、Id2遺伝子欠損マウスの頭蓋顎顔面部を計測した。上顎骨の前後径の短縮は、出生直後には認めず、成長に伴い顕著となった。生後2週Id2遺伝子欠損マウスの頭蓋底軟骨結合部において肥大軟骨細胞層の狭小化と増殖軟骨細胞層でのBrdU陽性細胞数の減少を認めた。生後1週野生型マウス頭蓋底の器官培養において、BMP-2,4添加で肥大軟骨細胞が、BMP-7添加で増殖軟骨細胞が増加したのに対し、Id2遺伝子欠損マウスでは変化を示さなかった。Id2遺伝子欠損マウスの頭蓋底軟骨結合部において、BMPシグナリングに関わる分子のsemi-quantitative RT-PCRの結果、抑制型Smad7の発現が増加した。また、リン酸化Smad1, 5, 8陽性軟骨細胞数が減少した。以上より、Id2遺伝子欠損によりSmad7の発現が増強し、BMPシグナリングが抑制されたことにより成長期における頭蓋底軟骨結合部の軟骨細胞の分化増殖が障害され、顎変形症が発症したと考えられた。以上の研究は顎変形症発症の遺伝要因の解明に貢献し、今後の顎矯正治療の発展に寄与するところが多い。
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Oral Diseases
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Bone
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